
このたび博多ふるさと野菜を語る会編『博多ふるさと野菜』が地元の
弦書房から刊行された。さっそく関係者から送られてきたが、たいへん興味深く読ませていただいた。
前文にはこう紹介されている。
『博多は古くから「文明の交差路」であった。食についてもはるかな昔に、大陸から伝えられた饅頭やうどんが「博多の名物」として根付いており、この地から全国へと広がっていった。
野菜について考えれば、もともとこの地に育っていたもの、大陸など他の地から伝えられたもの、さらには英知によって新しくつくりだされたものなどから、しっかり根付いて大きな流れの中で、「博多野菜」へと育っていくのだと思う。
こうしたことから、博多の食文化が育んだ特産野菜や地方野菜を、「博多ふるさと野菜」として位置づけることとした。
この本は、そういった視点を踏まえて、「博多ふるさと野菜」の一端についてまとめたものである。当然ながら、「博多ふるさと野菜」はこの地の料理に生かされてこそ、価値があると考え「博多ふるさと料理」についても紹介させていただいた。』
博多ふるさと野菜を語る会委員には農学者、福岡県、福岡市などの行政関係者、農協、市場の卸売会社、料理研究家、種苗会社、新聞社などと多彩な顔ぶれが集まった。こうした人たちの熱意がこの本を完成させたといえるだろう。残念ながら伝統野菜の京野菜、加賀野菜にはこうした語る会はない。そうした意味で同会の存在は高く評価される。
ところで「博多万能ねぎ」が全国的デビューをはたして30年がたった。仕掛け人の杉山勇さんは東京青果の現役時代、口がかたくなかなか本音が聞けなかった。一昨年、やっと延べ16時間にわたってとことん取材でき
『博多万能ねぎはこうして生まれた』として結実させることができた。博多万能ねぎ誕生の正史を残しておきたかったからである。(日記に10回連載)
杉山勇さんが東京青果現役のとき、最初にキャッチボール(情報交換)の相手をされたのが朝倉町農協の森部賢一課長であった。いまでは当時の森部課長もJA筑前あさくら代表理事副組合長で、この「博多ふるさと野菜を語る会委員」をされている。
その後も「博多万能ねぎ」を凌駕するヒット商材は出ていない。「博多●●シリーズ」もここからスタートした。時代背景が違うといわれればそれまでだが、マーケティングにおいてもいまだに参考になることがおおい。
そしてこの『博多ふるさと野菜』の中から、つぎの全国的デビューを果たせる商材がでてくることを願いたいものである。生産者、農協役職員、市場関係者、スーパーのバイヤー、料理人にもお薦めできる本である。
『博多ふるさと野菜』=博多ふるさと野菜を語る会編= 定価1500円+税
出版社=
弦書房(福岡市中央区大名2-2-43-301)